返し馬の見方

返し馬の見方

発走前の最終チェックと言えばパドックを思い浮かべる方も多いと思います。ですが、ギリギリまで馬の状態を見極めるには返し馬も重要。直前だけに最もレースに直結する情報源と言っても過言ではありません。

しかし、パドックより見られる時間が限られ競走馬のタイプや騎手によってその方法や見方も違います。ココではパドックの見方から更に突っ込んで『返し馬を見る際のポイント』を紹介させていただきます。

『パドック』と『返し馬』のポイントを押さえて馬の状態把握が出来る様になれば、今後の馬券検討の大きな武器になることは間違いありません。


基本

まず、パドックで馬体や気配などを予め確認しておくことが重要です。返し馬と比較してどのような変化があるかで、状態を見極めることができるからです。

場所

返し馬を見る場所は馬の全身の動きが見える場所が適しています。つまり、ある程度高い位置で見ることが望ましいでしょう。また、距離によって走って行く方向が違いますので、予め把握しておくのもポイントです。

テンションを確認する

まず確認するのは、パドックでイレ込んでいた馬が本馬場でもイレ込んでいるかどうか。また、本馬場入り後にテンションが上がり過ぎていないかもチェックします。折り合いに難のある馬は返し馬でも頭を上げたりとスムーズさを欠くシーンが見受けられます。そういう場合は割引が必要でしょう。逆に返し馬で落ち着いていれば、能力を出せる状態と見て相違ありません。

走り出しを見る

馬が走り出した時の肩の出方や四肢の動きで、脚元の状態をチェックすることができます。特にコズミが酷い馬やソエが出ている馬は注意が必要。脚の出が悪い場合は、馬が痛がっていたり気にしたりしており、凡走の可能性は高くなります。

距離別

返し馬は状態の把握だけでなく、その馬の距離適性も見極めることが可能です。ここでは距離別にどの様に返し馬を見れば良いかを説明していきます。

短距離

1000mや1200mで重要なのはスピード感のある走りをしているか。多少テンションが高く、騎手を引っ張る位でも問題はありません。むしろ、落ち着き過ぎて気合不足の馬は、スタートダッシュがつかず後方から競馬を強いられる可能性が少なくありません。1600m前後であれば、多少リラックスをした走りを見せている方が良いでしょう。

中距離

2000mを超えると折り合いが肝心になります。返し馬で鞍上が手綱を引っ張っても反抗するような素振りを見せていれば、レースでも掛かる可能性は高くなります。

中長距離

中距離同様にまずは折り合いが重要。また、長距離では「ストライド走法」、つまりトビ(歩幅)の大きい馬が有利となります。他の馬との比較すればどの馬のトビが大きいかは容易にわかります。また、逆にトビの小さな馬、いわゆる「ピッチ走法」は短距離で有利とされています。

走法別

【距離別】の項で説明して様に短距離では『ピッチ走法』、長距離では『ストライド走法』が有利とされています。これらの走法別からも状態の良し悪しを判断することができます。

ピッチ走法

短距離の項でも説明しましたが重要なのはスピード感。つまり、脚の回転が速いのか遅いのかで判断します。当然、状態が良ければ軽快な脚捌きを見せるのは言うまでもありません。また、個体差はありますがトビが小さい馬は道悪を苦にしません。

ストライド走法

ストライド走法では完歩の大きさや力強さを重視します。やはり、ダイナミックな動きを見せている時ほど好調と見ていいでしょう。一般的に道悪は上滑りし易い、ノメり易いなど適しているとは言えません。

騎手

どの様な返し馬を行なうかは騎手の判断になります。また、騎手によってその方法は様々。しかし、そこから騎手の意図を見出すことが可能です。

短い返し馬

馬の気持ちを落ち着かせたい場合や息を確かめる程度なら返し馬は短く軽めになります。ただ、佐藤哲騎手の様にあまり返し馬をしない場合や岩田騎手の様にほぼ軽めで済ます場合が多いといった騎手もいるので注意が必要です。

長い返し馬

長めの返し馬には休み明けで馬が重い、コズミがあるなど状態が今ひとつの場合に行なうことがあります。また、レースで先手を打ちたい時は早めに気合を上げる為に返し馬から長めに気合をつけます。レースの展開を読む上で貴重な情報となるので、この点に注目して損はありません。なお、内田博騎手や横山典騎手などは返し馬を長めに強く行なうことが多い騎手です。

乗替り

乗替り、特に初騎乗の場合は馬との呼吸が合っているかを見るのが重要です。ここで折り合いがついている様ならば、乗替りの影響は少ないと見ていいでしょう。

その他

新馬戦

初めての競馬となればテンションが上がり易いのは仕方ありません。その為、基本的に返し馬は軽めとなり、他馬の近く、つまりある程度の集団の形で行なう様になります。ココで歩くのを嫌がる、馬っ気を出す、尻跳ねをするなど落ち着きのない馬は割引いて考える必要があります。

返し馬をしない

騎手の項でも説明しましたが、佐藤哲騎手の様に返し馬をしない騎手もいます。同様に返し馬を意図的にしない馬も存在します。理由は返し馬をするとかえってテンションが高くなってしまうからです。この場合は例外と考えていいでしょう。ですが、通常返し馬をしないと言うのはプラスとは言えません。予めその馬の前走の返し馬がどうだったのかを覚えておくと良いでしょう。